-dark days in paradise-

これは夢だとわかっていた。


どこかの店---カフェ?バーか?ホテルのラウンジ?---で、スミスと二人。
差し向かいで座っていた。
二人の間にある小振りのテーブルには、グラスが二つ。
中には琥珀色の液体が、球形の氷を半分囲って揺れていた。

スミスは相変わらずのダークスーツ。
黒いタイを締めたカラーの白さも相変わらずだった。
椅子に足を組んでゆったりと座り、組み合わせた両手を腹の上に乗せて

僅かに首を傾げる様に俺を見ていた。

俺はその、白いカフスからのぞく手首と、
それに続く、組み合わされた形の良い指に目をやりながら囁く・・・

「人間を、機械の支配から解放できたら・・・」

できたら?と、サングラスの向こうのアイス・ブルーの目が問い返す。

「この戦いが終わったら、スミス・・・
あんたのプログラムを初期化して、1から設定し直してやる・・・」

そしたら、こうやって一緒に酒も飲めるだろ?

俺の言葉にスミスは応えず、ただ薄い笑みが唇を掠めただけだった。

ゆっくりと組んでいた指を解くとサングラスの位置を直し、そのまま立ち上がって
去っていった。何処とも無く・・・・・・

花をあしらったステンドグラスの影が、その姿を照らしていた。



覚醒と夢の狭間で、俺はぼんやりと考える。
この夢の意味を。

この戦いが終わったら
その時は・・・?



目が覚めた後も、あの花のステンドグラスの残像が、ちらついて消えなかった。



-end-

突然浮かんだシチュエーション。
タイトルはゲーリー・ムーアのアルバムから。
いやもう、痛い歌が多くて・・・(笑)
何なんでしょうね?いったい・・・
<03,09,12>